国際税務・会計

日本企業の海外進出、反対に、外国企業による日本法人の設立などに伴う国際税務は複雑です。経済のボーダレス化は国際間の利害の対立も伴います。
その意味では国際税務も「国際的税金紛争」的な側面もあります。
移転価格税制などは、企業に多大の負担を課しています。
以下に、国際税務の一部を記します。

国際税務の重要コンセプト・・・その1

国際課税においては、納税義務がどの国にあるのか、課税される所得の範囲はどこまでなのか、そして、どのような方法で課されるのかを先ず押さえる必要があります。なお、以下に記すことは正確さを欠くことがあるかもしれません。自社の顧問税理士、会計士にご確認の上、実行されますようお願い致します。

(1)納税義務の確認
・自社はどの国に対して納税義務があるのか?
・すべての法人は内国法人と外国法人とに分類されます。その分類の基準は何か?
・その基準の一つは「設立準拠法主義」、他の一つは「管理支配地主義」です。
・海外進出先の法人の分類基準を知っておくことは大切です。
・その分類基準は、その国の国内法に定められています。
①設立準拠法主義
その法人がどの国の法律に基づいて設立されたのかということを、その法人の居住地とする基準です。通常本店の所在地ですので「本店所在地主義」とも言われます。
日本では法人税法第2条第3号で内国法人について「国内に本店または主たる事務所を有する法人」とし、外国法人とは同法第2条第4号で「内国法人以外の法人」と規定し、本店所在地主義、つまり設立準拠法主義を採っています。
その判断は形式的であり、実質的ではありません。たとえば日本の会社法による設立法人が、人的にも物理的にも事業のほとんどが海外に存在していたとしても、内国法人となります。
この点、会社法第821条の擬似外国会社の実質主義とは異なりますので注意を要します。
②管理支配地主義
その法人のヘッドクォータの所在国を居住地とするものです。管理支配地主義を採る国では、自国の法律に基づき設立された会社であっても、重要な意思決定が外国でなされているようなケースでは外国法人とされることになります。
管理支配地主義では実質的な司令部の所在がポイントになります。
③併用
①と②の併用を採る国もあります。
中国は、香港と中国は別の税制です、日中租税条約も香港には適用がありません。香港では、①及び②には関係なく、国内源泉所得の一部にのみ課税しています。
英国は1988年に管理支配地主義に設立準拠法主義をプラスして両者の併用を採用しています。

国際課税・重要コンセプト・・・その2

・・・その1からのつづき

(2)課税対象所得の確認
・(1)で納税義務の有無が確認できたが、納 税義務はいかなる所得に対してなのか?
・設立準拠法主義と管理支配地主義では、課 税対象所得の範囲はどう違うのか?
・その違いや範囲は、その国の国内法(ソース・ル ール:souce rule)によります。
①内国法人
国際的に事業を展開している場合、(1)の判定で居住地が日本であるとなれば、全世界の所得が日本で課税されます。日本はワールドワイド方式(全世界所得課税方式)を採るからです。
他方、その国にとっては内国法人であっても、その国に源泉する所得にのみ課税し、国外で獲得した所得については課税しない国があります。このような課税方法がテリトリアル方式(国外源泉所得非課税方式)です。
(各国の内国法人課税所得範囲)
ワールドワイド・・・アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、韓国、インドネシア、中国など
テリトリアル・・・フランス、シンガポール、マレーシア、ホンコンなどドイツは原則、支店などの場合は法人格がないのでテリトリアル、証券投資等、パッシブな所得はワールドワイド方式となります。

テリトリアル方式では、国内源泉所得なのか国外源泉所得なのかという問題があり、ワールドワイド方式では二重課税の問題が生じます。二重課税は外国税額控除制度により排除しますが、そのためにはやはり国内源泉所得か国外源泉所得なのかを区別する必要があります。
②外国法人
日本における外国法人は、テリトリアル方式で課税されます。つまり日本国内の源泉所得のみに課税されるわけです。日本以外の国でも外国法人に対しては概ねテリトリアル方式です。
「国内源泉所得」は各国の税法で規定されます。
日本のソース・ルールは法人税法第138条、所得税法第161条で定め、ほぼ同様です。
(法人税法第138条)
1号・国内事業所得
・国内にある資産の運用保有による所   得
・国内にある資産の譲渡による所得
・施行令第178条に掲げる所得
2号・国内での人的役務提供事業の所得
3号・国内にある不動産の貸付料等
4号・日本国の国債権・地方債、内国法人の発行する債権の利子及び国内にある営業所に預け入れられた預貯金の利子等
5号・内国法人から受ける配当
6号・国内業務を行う者に対する貸付金で当該業務に係るものの利息
7号・国内業務を行う者から受ける使用料で当該業務に係るもの
8号・国内事業の広告償金
9号・国内契約締結の利殖年金
10号・金融類似商品に係る収益等
11号・匿名組合契約に基づく利益の分配
☆上記で押さえておきたいポイント
3号 不動産所得の源泉地・・・不動産所  在地
4号 利子所得の源泉地・・・債務者居住  国(債務者主義)
5号 配当所得の源泉地・・・債務者居住  国(  〃  )
6号 利子所得の源泉地・・・使用地(使用  地主義)
7号 使用料(ロイヤルティ)・・・使用地(  〃  )
(注)国内法と租税条約が異なることがあります。その場合は租税条約を以て所得源泉地を判定します。OECDモデル租税条約や日米租税条約は使用料について債務者主義を採っています。

国際課税・重要コンセプト・・・その3

・・・その2からのつづき

(3)外国法人に対する課税方法
・日本の課税権は日本国内を源泉とする所得に限られる。
・課税方法は「総合課税」と「源泉分離課税」の二つ
①源泉分離課税
前記した2号~11号と、1号中の国内にある不動産の譲渡対価は源泉課税となります(所得税法第178条、第179条)。
注意すべきは、源泉課税は源泉分離課税とイコールではないということです。源泉分離課税であれば、源泉課税のみで課税関係は完了です。しかし、源泉徴収されても総合課税される場合があるのです。それは次のPEの存在がポイントになります。
②総合課税
総合課税とは、損益計算書で算出した純利益(課税所得)に所定税率を乗じて算出して税金を納付する方法です。例えば源泉徴収された配当や利子があっても、これをP/Lの受取配当や受取利息として計上することになります。
☆前期した所得1号~11号所得は下記のようになります。
・常に総合課税・・・1号所得の内、資産の運用保有による所得、2号の人的役務提供所得、3号の不動産の賃貸料(法人税法第141条)・・・源泉徴収税額は税額控除する
・恒久的施設(parmanento establishiment=PE)が在る場合のみ総合課税・・・上記の所得以外の国内事業から生じる所得はPEが国内にあるときのみ総合課税されます。(法人税法第141条、施行令第185条)

☆PEとは・・・OECDモデル租税条約第5条より
PEとは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所をいう。概ね次のものを挙げています。
1号PE  事業の管理の場所、支店、事務所、工場、作業場等
2号PE 建築工事現場又は建設若しくは据付工事で12ヶ月を超える期間存続するもの
3号PE 自己のため契約を締結する権限を有する者(代理人)
上記のものでも、一定のものは除かれます。

(4)外国法人に対する総合課税・二つの原則
外国法人が日本国内にPEを設けると、総合課税されます。その範囲の捉え方には「帰属主義」と「包括主義」があります。
1号PEが在る場合、事業所得のみならず、すなわち4号~11号までの所得は、源泉課税後に1号~3号までの所得に合算して総合課税されるます。これが包括主義です。
他方、帰属主義はPEに帰属する所得のみを総合課税とします。日本では2号、3号PEについては一部帰属主義を採っています(法人税法第141条第2号、3号)

外国税額控除・二重課税の排除・・・その1

外国税額控除・二重課税の排除

国際課税では、国際間の二重課税を排除するため外国税額控除制度が設けられています。内国法人の課税の範囲の捉え方には、ワールドワイド方式とテリトリアル方式があることは重要コンセプトで述べたとおりです。前者を採る国(日本、米国、中国等)では、海外進出に際し現地法人ではなく、法人格のない支店や営業所を設けて所得を得ている場合、現地ではこの所得に現地の課税がなされます。一方、本国では全世界所得に対して本国の課税がなされれます。従って、その支店等の所得には、現地と本国との課税、すなわち二重課税が生じることになります。
このような二重課税を排除するため、最終的に本国で納めるべき確定税額から、国外源泉所得に課税された外国税額を控除します。租税条約の目的の一つはここにあるわけです。

外国税額控除は非常に複雑です。ここではある程度のエッセンスを記すものです。皆様がこの制度を利用するに当たっては、自社の顧問税理士・会計士に綿密な説明を受けなければならないことは当然といえます。

Ⅰ.日本の外国税額控除制度・その概要
(1)控除対象外国税額
①内国法人が直接納めた外国税額
内国法人(日本法人)の海外支店等(現地法人ではありません。)が得た利子に係る外国所得税は日本の税額から控除でき、これを直接外国税額控除といいます。控除の対象はあくまで所得に対する税(income tax)のみで、消費税や固定資産税等は対象外です。
また、高率な外国税額にはリミッターが付いており、その高率部分は控除対象外となります(法人税法第69条第1項、同法施行令142条の3)。
a)50%を超える率で課される税の50%を超える率に対応する部分。この判定は外国税額ごとに、かつ、その外国法人の課税標準の金額ごとに計算します(法人税法基本通達16-3-22)。b)利子収入を課税標準として課される外国の源泉徴収税で下記のもの。
・平均所得率が10%以下の内国法人は税率10%を超える部分
・平均所得率が10%超20%以下の内国法人は税率15%を超える部分
・平均所得率が20%超の内国法人は高率負担部分はなし
平均所得率とは下記の割合で、当該外国法人税を納付することになる事業年度を含む直近3事業年度の平均値をいいます。
☆aは総合課税の所得(収入から費用を差し引いて利益を算出)に課す税率が50%超となる場合を指しており、ネット課税のケースです。bは源泉徴収課税のグロス課税をネット課税に引き直した考え方で、両者のコンセプトは同じです。
利子収入×課税所得金額/総収入金額=ネット所得
ネット所得/総収入金額=平均所得率

外国税額控除・二重課税の排除・・・その2

その1からのつづき

②外国子会社配当益金不算入制度の創設
内国法人が外国子会社(保有割合が25%以上で、剰余金の配当等の支払義務確定日以前6月以上継続している等の要件を備えている外国法人)からの剰余金の配当がある場合には、その配当額からその配当に係る費用として、配当等の5%相当額を控除した金額について、その内国法人の各事業年度の所得の計算上、益金の額に算入しないこととされました。
なお、上記の持株割合は、条約相手国の居住者である法人が納付する租税をわが国租税から控除する旨を定める租税条約により25%未満に定められている場合は、その割合によります。
内国法人が外国子会社から受ける配当等の額につき益金不算入とする場合等において、その配当等の額に対して課される外国源泉税等の額は、その内国法人の所得金額の計算上、損金の額に算入しないこととされました。

この制度は、原則として内国法人が平成21年4月1日以後に開始する事業年度から適用されますが、外国子会社合算制度や外国税額控除制度との関係において、その適用に関する経過措置が設けられています。なお、平成22年1月に国税庁よりこの制度に関するQ&Aが開示されています。

③外国税額控除制度の改正
・間接外国税額控除制度は、所要の経過措置を講じた上、廃止することになります。
・外国税額控除の対象とならない外国法人税の額に外国子会社配当益金不算入制度の対象となる剰余金の配当等の額に対して課される外国法人税の額等を追加することとされました。
・外国税額控除の適用を受けた外国法人税の額が後に減額された場合、その減額に係る事業年度の控除対象外国法人税の額からその減額された外国法人税の額を控除する等の措置の適用については、外国税額控除を受けた事業年度開始の日後7年以内に開始する各事業年度において減額された場合に限ることとされました。
・内国法人が外国税額控除の適用を受ける場合に確定申告書に添付されることとされている書類のうち、一定の書類は、添付に代えて保存することにより、その適用を認めることとされました。

☆租税条約の二重課税排除条項により持株割合が25%未満の割合とされているもの
米国(第23条)、オーストラリア(第25条)、ブラジル(第22条)、フランス(第23条)

④特定外国子会社等に係る所得の課税の特例の改正
特定外国子会社等が支払う剰余金の配当等の額は、適用対象金額及び課税対象金額の計算上控除しないこととされるなど、一定の改正がなされていますので注意が必要です。

⑤みなし外国税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)
払っていない外国税額を払ったものと「みなし」て、日本で外国税額控除を適用できるという制度です。これは発展途上国が外国から自国に投資を呼び込むために外国企業に優遇税制として設けたものです。このみなし外国税額控除は、当該国との租税条約を以て定められ、この優遇を受けようとするときはしかるべき書面をもって税務当局に届出が必要となります。

過小資本税制の概要

過少資本税制の概要

(1)立法の趣旨
過少資本税制は、法人の課税所得の計算上、配当は課税後の利益処分であり、損金とはならないが、借入による利子は損金となることに着目し、資本を過少にして、借入金を多くすることによる国際的租税回避を防止しよとするものです(日本は1992年に導入)。
国際企業グループのクロスボーダ負債利子等に限定されます。

(2)適用対象法人
日本の過少資本税制の対象法人は、法人税の納税義務がある法人で、「国外支配株主等」に対して負債利子を支払うものです。国外支配株主等とは、非居住者または外国法人で一定のものをいいます(措置法第66条の5③、措置法令第39条の13⑱⑲)。
①親子・孫会社
適用対象法人の発行済み株式の総数の50%以上の株式数を直接または間接に保有するもの
②兄弟会社
適用対象法人と外国法人が同一の者によってそれぞれの発行済み株式の50%以上の株式を直接または間接に保有されている場合における当該外国法人
③実質支配会社
適用対象法人と非居住者または外国法人との間に、取引、資金または人事の関係により当該外国法人等が当該適用対象法人の事業の方針の全部または一部につき実質的に決定できる場合の当該外国法人等
☆直接または間接に保有する割合=直接保有割合+間接保有割合(措置法第39条の13⑲、同39条の12②③)

◎間接保有割合の判定例
・外国法人Aは外国法人Bの株式を40%保有し、その外国法人Bは日本法人の株式の80%を保有している。なお外国法人Aは当該日本法人の株式20%を直接保有している。
(この場合のAの間接保有割合はどうか)
外国法人Bは日本法人株を80%保有しているので国外支配株主となる。外国法人Aは日本法人株を20%直接保有しているが間接保有割合は80%×40%=32%でしょうか?この場合、株式保有の連鎖関係者がすべて50%以上である要件を欠きます。したがって、外国法人Aは外国法人Bの株式を40%しか保有していないので、40%ではなく0%とみます。よってAは日本法人の株式を20%しか保有せず、国外支配株主にはなりません。
したがって、日本法人はAからの借入金に対する利息は税務上の損金として認められます。
AがBの株式を50%以上保有していれば、3社の連鎖関係はすべて50%以上となり、間
接保有割合は80%となります。直接保有の20%はなかったものとしても、Aは日本法人にとって国外支配株主となります。
上記①または②の要件を満たせば、自ずと③の要件を満たすことになります。
この間接保有の捉え方は別に記す移転価格税制と同様です。すなわち支配権の有無です。

(3)計算
下記の比率のいずれもが3倍を超えた場合に過少資本税制が適用されます。(措置法第66条の5①)
①国外支配株主等に係る資本・負債比率=当該事業年度の国外支配株主等に対する負債の平均残高/当該事業年度の国外支配株主等が有する適用対象法人の純資産に対する持ち分額
②資本・負債比率=当該事業年度の総負債の平均残高/適用対象法人の純資産の額
(注)算式中「負債」は利子の支払い起因になるものに限る。

☆過少資本税制は、租税条約上の無差別取扱い条項抵触が議論されたこともありましたが、現在は過少資本税制に独立企業間原則を採り入れているなら、無差別取扱いに抵触しないとされる。日本では、類似法人の負債・資本比率を援用することを認めています。(措置法令66の5③)
③損金不算入とされる金額
下記の算式により算定された金額が損金不算入となります。
損金不算入額=対象法人が当該事業年度において、国外支配株主等に支払う負債利子の額×(a)-国外支配株主等の資本持ち分×3/対象法人の当該事業年度の国外支配株主等に対する負債の平均残高(a)
なお、上記算式の分子の3倍に代えて類似法人の負債・資本費率を用いることができます。

国際税務・・・その他

国際税務は、大変複雑で多様です。わが国との租税条約締結の有無や、その内容も相手国によって異なります。
租税条約の優遇を受けるにはどうしたらよいのか?など数多くのハードルがあります。
国情がよくわからないケースもあります。
このような場合に備えて、当事務所では大手金融機関の「貿易相談員制度」や「米国公認会計士・税理士」とも提携しております。

恒久的施設 (Permanent Establishment:PE)

☆☆☆恒久的施設(Permanent Establishment:PE)
租税条約では所得の種類別に規定が設けられています。中でも事業所得は「PEなければ課税なし」が原則です。
PEの概念は重要概念です。OECDモデル租税条約は以下のように定めています。あくまでもモデルですので、実際の二国間租税条約を確認する必要があります。しかし、OECD理事会は、加盟国がモデルと異なる見解を採る場合は、OECD租税委員会に公式な所見を提出しない限り、モデル租税条約及びそのコメンタリーに従うべきであるという公式勧告を採択しています。二国間租税条約も基本的にOECDモデルに沿ったものといえるでしょう。
なお、実行にあたっては貴社の顧問税理士に確認して下さいますようお願い致します。

第5条 恒久的施設1.この条約の適用上、「恒久的施設」とは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所をいう。
2.「恒久的施設」には、特に、次のものを含む。 a)事業の管理の場所 b)支店 c)事務所 d)工場 e)作業場、及び f)鉱山、石油又は天然ガスの抗井、採石場その他天然資源を採取する場所
3.建設現場又は建設若しくは据付工事は、12ヶ月を超える期間存続する場合に限り、恒久的施設とする。
4.1から3までの規定にかかわらず、「恒久的施設」には、次のことは、含まれないものとする。
a)企業に属する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみ施設を利用すること。
b)企業に属する物品又は商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること。
c)企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のためにのみ保有すること。
d)企業のために、物品若しくは商品を購入し又は情報を収集することのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。
e)企業のために、その他の準備的又は補助的な性格の活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。
f)a)からe)までに掲げる活動を組み合わせた活動を行うことのみ目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。ただし、当該一定の場所におけるこのような組合わせによる活動の全体が準備的又は補助的な性格のものである場合に限る。
5.1及び2の規定にかかわらず、企業に代わって行動する者(6の規定が適用される独立の地位を有する代理人を除く。)が、一方の締約国内において、当該企業の名において契約を締結する権限を有し、かつ、この権限を反復して行使する場合には、当該企業は、そのものが当該企業のために行うすべての活動について、当該一方の国内に恒久的施設を有するものとされる。ただし、その者の活動が4に掲げる活動のみである場合は、この限りではない。
6.企業は、通常の方法でその業務を行う仲立人、問屋その他の独立の地位を有する代理人を通じて一方の締約国において事業活動行っているという理由のみでは、当該一方の国内に恒久的施設有するものとされない。7.一方の締約国の居住者である法人が、他方の締約国の居住者である法人若しくは他方の締約国内において事業(恒久的施設を通じて行われるか否かを問わない。)を行う法人を支配し、又はこれらに支配されているという事実のみよっては、いずれの一方の法人も、他方の法人の恒久的施設とはされない。
*恒久的施設の所見・・・イタリア、チェコ、スロバキア、メキシコ、ポルトガル、スペイン、ドイツなど
*恒久的施設の留保・・・オーストラリア、ギリシャ、大韓民国、NZ,ポルトガル、トルコ、米国、カナダ、デンマーク、アイルランド、ノールウェイなど

各項の具体的な解釈等は、モデル租税条約のコメンタリーを参照する必要があります。

恒久的施設・・・続き

☆☆☆OECDモデル租税条約の位置づけ

モデルは考えられる状況ごとに、それぞれのルールを設けています。しかし例えば、配当、利子に係る源泉地国の税率や二重課税排除の方法選択等は、OECD加盟国の自由に委ねられている。また、コメンタリーで本文に代替又は追加する規定にも言及しています。

☆☆☆コメンタリー
モデルの各条項には、具体的例や解釈をコメンタリーがあります。コメンタリーは、法的拘束力をもつ各国の租税条約に付属するものではありませんが、条約の適用・解釈や紛争の解決に利用され、加盟国の税務当局及び納税者は、コメンタリーを参照しています。加盟国の裁判においても利用されています。

☆☆☆コメンタリーの所見、留保 所見(observation)は、当該加盟国が各条項のコメンタリーに従えない場合に、その国が当該条項の適用を表明したものです。

留保(reservation)は、当該条項に合意できない加盟国が、その旨の意見やその理由等を表明したものです。